肌の冷えと大人ニキビ

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肌の冷えと大人ニキビ

 

人の体は約36.5℃が平熱とされています。

人間の体は暖かい状態に保たれていると体の働きが活発に行われるのですが、冷えてしまうと体の様々な働きが低下して、体温が1℃下がると免疫力が30%低下するといわれています。

同様に冷たいものを食べたり飲んだりしてお腹を冷やすと下痢や便秘などをおこしやすくなりますが、胃や腸などの内臓も温度が低下して冷えると働きが低下してしまいます。

人間の体表を覆っている肌は心臓や肝臓などと同じ臓器ですが、内臓と同じように、肌も冷えてしまうと働きが低下して大人ニキビが出来やすい状態になってしまいます。

冷えた肌とは?

人間の体は血液が活発に循環している部分はその働きが高まり、逆に血液が充分に循環していない部分はその働きが低下してしまいます。

”熱き血潮”といいますが、血液は温かいものです。

その血液が肌の周囲に充分に循環しなくなると肌が冷えてしまいます。

なぜ肌の周囲に血液が充分に循環しなくなるのか?

原因その一 水滞(すいたい)

水滞(すいたい)とは、摂取した水分の代謝が悪くなることでおこります。口から摂取した水分は腸から体に吸収されていきますが、腸の働きが低下して水分吸収に時間がかかるようになると、お腹の中に吸収されるのを待っている水分が多くなり余分な水分を抱えているお腹が冷えやすくなります。人間の体は冷えると働きが低下します。もともと働きが活発でないために水分が溜まりやすくなって腸の冷えをおこすと、腸の働きがさらに低下してしまいます。そうなると、腸を温めて働きを高めるために温かい血液を腸の周りにたくさん循環させて腸を温めようとします。この状態が常態化すると、腸の周り=体の中心部に温かい血液が集中する状態になるため体の一番外側の肌周囲を循環する血液量が低下して肌の冷えをおこしてしまいます。

原因その二 お血(おけつ)

お血(おけつ)とは、本来サラサラ流れているのが正常な状態の血液がドロドロと粘着性が高まって血液循環が活発に行われなくなる状態です。血液がサラサラ流れている状態ならば、体の表面にたくさんの血液を循環させることが出来ますが、ドロドロと粘着性の高いお血(おけつ)の状態では、温かい血液を充分に体の表面に届けられなくなって肌の冷えをおこしてしまいます。

肌が冷えると大人ニキビが出来やすい肌になる

肌は新陳代謝で毎日少しずつ入れ替わっています。

肌は新陳代謝で入れ替わっている

基底層の肌細胞が細胞分裂をして新しい肌が生まれてきます。

新しく生まれた肌は、次の日に生まれて来る肌に押し上げられるようにしながら有棘層(ゆうきょくそう)→顆粒層(かりゅうそう)→角質層(かくしつそう)へと進み、約28日かけて角質層の最上部に到達すると、やがて剥がれ落ちていきます。

これは肌の新陳代謝と呼ばれていますが、肌が冷えてしまうとこの新陳代謝が活発に行われなくなります。

肌が冷えて代謝が低下すると白ニキビが出来る

 

白ニキビ

ニキビは、毛穴の出口の部分が目詰まりして、毛穴から排出される皮脂が外に出られない状態になることで出来始めます。

ニキビが出来る毛穴の出口の角質も新陳代謝で入れ替わっています。

正常な肌状態はニキビが出来にくい

肌の働きが高く新陳代謝も活発に行われていて毛穴の出口の角質層が正常に剥がれ落ちて行けば、毛穴の出口はある程度の広さを保てますから、剥がれ落ちた角質は皮脂に流されるようにして肌の上に排出されていきます。

肌の冷えと白ニキビ

肌が冷えてしまうと新陳代謝が活発に行われなくなることで毛穴の出口の角質が肥厚(ひこう…厚くなる)して目詰まりをおこし、出口が塞がれることで毛穴から排出されている皮脂が外に出られなくなって白ニキビが出来てしまいます。

肌が冷えて体温調節の働きが低下するとと白ニキビが炎症ニキビ(赤ニキビ)になる

炎症ニキビ(赤ニキビ)

東洋医学では、白ニキビの状態に熱のこもりが加わると白ニキビが赤ニキビと呼ばれる炎症ニキビになると考えられています。

肌の働きには外部からのウィルスなどの侵入を防ぐバリア機能などいくつかの働きがありますが、肌が冷えて肌の働きの中の体温調節の働きが低下してしまうと、白ニキビが炎症ニキビや化膿ニキビに発展しやすくなります。

肌の体温調節の働き

暑い時には体の中の熱が高くなると肌から汗が出て、汗が蒸発する時の気化熱で体を冷やします。

また、体の中の熱がそれほど高くない時でも肌からは不感蒸泄(ふかんじょうせつ)という働きで、筋肉や脳、肝臓の活動で作られた体温の余分な分を気体で体の外に逃がしています。

逆に寒い時には毛穴が閉じて肌の表面積を少なくすることで体の中の熱が肌から外に逃げていくのを防ごうとします。

これが肌の体温調節の働きです。

体の表面、肌の周囲に温かい血液が循環していない状態肌の冷えと体の熱のこもりとは一見真逆のように思いますが、体の中心部に集中した血液(熱)が体の表面まで届いていないために、体の中心には熱がこもって、体の表面は冷えてしまっているのです。

肌の冷えの原因が水滞(すいたい)にしろお血(おけつ)にしろ、このような体の状態になってしまうと往々にして心臓から距離のある下半身の血液循環が低下しやすくなり、下半身に行けない血液が上半身にばかり循環するようになって上半身の熱のこもりがさらに強くなります。

本来、肌の働きが活発な状態であれば、強くなった上半身の熱のこもりは肌から体外に逃げていくのですが、肌の冷えをおこして体温調節能力が低下していると、強くなった熱のこもりが肌から逃げられず、白ニキビが炎症ニキビに発展しやすくなるのです。

肌が冷えて免疫力が低下すると化膿ニキビ(黄ニキビ)になる

 

肌が冷えると黄ニキビと呼ばれる化膿ニキビをおこしやすくなります。

肌の上には黄色ブドウ球菌やアクネ菌などの様々な菌が生息しています。

肌には雑菌がむやみに増殖しないよう抑制する免疫力が備わっているのですが、肌が冷えてしまうと免疫力が低下して雑菌が繁殖しやすくなり、雑菌を退治するために白血球が雑菌と戦います。

ニキビが出来ている毛穴は出口が塞がっているため、その中で白血球に退治された雑菌の死骸と壊れた白血球が外に出られずに毛穴の中に膿みとして溜まってしまうのが化膿ニキビです。

肌の冷えを取り除くには体の状態を整えることが必要

大人ニキビを繰り返さない肌に根本治療するためには、肌の冷えを取り除き働きを高めることが必要です。

肌の冷えは、体の表面にある肌の周囲に血液が充分に行き渡りにくい体の状態がつくっています。

体を体の表面にある肌の周囲にまで温かい血液が充分に行き渡るような状態に整えれば肌の冷えが解消されて肌の働きが高まり、大人ニキビを繰り返さない肌にすることが出来ます。

 

 

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